2009/07/29

平成 20 年度センター試験(本試験)数学 II・B 第 5 問

前回の平成 21 年度からさかのぼり,平成 20 年度のセンター試験(本試験)における数学 II・B 第 5 問の個人的な解説を紹介します.より良い解法もあると思いますので,参考までに見てください.また前回同様,問題自体は大学入試センターのウェブサイトや予備校のサイトに今日の時点ではありました.参考までにご利用ください.

全体としては,教科書レベルを理解していれば,問題ない問題ばかりです.また計算時間も考慮されているのか,問題ないように思えます.一問,グラフから大まかに数値を読み取るところはマークだからこそできる問題と思いました.この手の問題の解法は本来のデータ分析ではありえないと思いますが,グラフから数値を読み取ることはままあるので,その意味では面白い問題かと思います.あとの分散の変化や散布図・相関係数の内容を問う問題も面白いと思います.

(1) の問題:最低気温 x と最高気温 y のうち x の各月の値を与え,平均値と中央値を求める問題.どちらも各数値があるので,定義に従って計算すればよいでしょう.ちなみに個体の図示化である散布図の x 軸をみていくと平均値のおおよその値や中央値を求めるための 2 つの個体(6 番目と 7 番目)の個体もわかります.具体的に,平均値は ((-12)+(-9)+…+(-8))÷12=5.0(←アイ),中央値は散布図から 6 番目は 3 ℃,7 番目は 7 ℃とわかるため,(3+7)÷2=5.0(←ウエ)となります.平均値は仮平均を使うと少しは楽かもしれません.また出てきた平均値の数値をグラフをみると確かに 5 が真ん中になりそうですので,簡単な確かめにもなります.

(2) の問題:2 つのグループに分けたときの平均値等を求める問題.4 つの個体の平均値なので,そのままもとめ((-12)+(-9)+(-3)+(-8))÷4=-8.0(←オカキ),分散も同様に,偏差を求め(-4, -1, 5, 0.偏差の合計は 0 になるので正しい),二乗して平均値(16, 1, 25, 0 の平均値←分散の定義)を求め,(16+1+25+0)÷4=10.5(←クケコ).また y の全体の平均値も y の個々の個体の数値の合計を平均値から求め,それを割ります.つまり,(6×4+21.5×8)÷12=16.333…≒16.3(←サシス)となります.個数の異なるグループの平均値から全体の平均値を求めることを覚えていると(内容を理解していると)難しくはないです.

(3) の問題:数値の変更に関する問題.y の変更は 30 ℃から 18 ℃の -12 ℃です.平均値の途中計算を踏まえると全体が 12 ℃下がります.となると平均値は 1 ℃(←セソ)下がることになります.分散については,y の平均値((2) で求めた 16.3 ℃)の方に集まることになるので,散らばりが減り,分散の値も小さくなります(1←タ).

(4) の問題:この問題は散布図のグラフから数値を読み取ります.12 個からなるデータの中央値のため,6 番目と 7 番目に注目します.6 番目は 12 ℃あたり,7 番目は修正前で,21 ℃あたりの個体,修正後は修正値である 18 ℃です.したがって中央値は,修正前で,(12+21)÷2=16.5 ℃で,選択肢から 16.5 を選びます.ちょっと不確定のため確認すると 18 ℃を選択肢で選ぶ場合を考えたら,24 ℃.15℃の選択肢はグラフから見る限りありえませんので,6 番目の数値も不確定ですがどちらかというとを考え,この場合はこの数値で良いようですので,16.5℃の 2(←チ)といえそうです.また修正後は (12+18)÷2=15 となり,1(←ツ)とします.グラフから読み取るのはあいまいさが残ってしまい,マーク特有の問題かもしれません.

(5) の問題:最高気温から最低気温の差を新たに求めた変数 z との関係を問う問題です.z の平均値は,差の平均値のため(もちろん差を求めることを考えていますので,2 つの対象の個数は同じになります),それぞれの平均値の差を求めればよいです((x-y の平均値)={(x1-y1)+(x2-y2)+…+(xn-yn)}÷n=(x1+x2+…+xn)÷n-(y1+y2+…+yn)÷n=(x の平均値)-(y の平均値)).このことを知っていたら簡単で,これまでの問題や解答の数値から 15.3-5.0=10.3(←テトナ).これを知らずグラフから数値を読み取る方法で計算すると曖昧な数値のみになるので厳しいような気がします.定義からこれが正しいことに気づけばよいのですが….散布図の選択は,特徴的な x が 15 ℃~ 20 ℃あたりに注目し,このあたりの z は問題の最初の x-y の散布図より 7 ℃~8 ℃程度の差になっているので,該当するグラフは 1 (←ニ)といえます.

(6) の問題:(5) で選んだ 1 の散布図グラフの問題であり,明らかに負の強い相関が見えるグラフです.したがって,負の相関であり,x が小さい(最低気温が小さい)とき,z が大きい(差が大きい)ため,3 (←ヌ)の選択肢を選びます.

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